ABOUT
私は plum結び として、日本の伝統工芸「水引」を用いたアート作品を制作しています。
水引は「人と人を結ぶ」「ご縁を結ぶ」「幸せを結ぶ」象徴として、古来より祝い事や大切な場面で用いられてきました。
数ある水引の結びの中でも私は 梅結び が大好きです。梅結びは「忍耐力」「再生」「幸福」を象徴し、厳しい冬を越えて春に美しい花を咲かせることから「新しい始まり」の意味を持ちます。その力強さと優美さに深く惹かれた私は、すべての作品に必ず梅結びを取り入れることを大切にしています。そして「梅結び」を愛する気持ちをアーティスト名にも込め、plum結び と名乗ることにしました。作品を通じて「梅結び」のように人と人、心と心を結び、豊かさと調和を広げたいと願っています。
【水引の歴史と縁起】
水引の起源は飛鳥時代に遡り、遣隋使が持ち帰った贈答品に紅白の麻ひもが結ばれていたことが始まりとされています。以来、日本では水引は「魔除け」「清浄」「繁栄」を意味し、冠婚葬祭や贈答品に欠かせない縁起物となりました。結び方一つひとつに「長寿」「繁栄」「平和」といった祈りが込められており、受け取った人に幸運をもたらすと信じられています。
【水引の構造について】
水引は、細長く切った和紙をこより状にして糊で固め、色や光沢を加えて仕上げたものです。芯は紙でできているためとても軽く、柔らかさと張りを兼ね備えています。そのため、結びや折りの形が美しく残り、立体的で豊かな表現が可能になります。見た目は金属のように見えることもありますが、実際は和紙を基盤にした日本独自の素材です。
【梅と日本文化】
現代では桜が日本を代表する花とされていますが、古代日本では「花」といえば梅を指していました。『万葉集』にも梅を詠んだ歌が数多く残されており、梅は古来より日本人に愛され、特別な存在でした。梅は厳しい冬を越えて最初に花を咲かせることから、「希望」「新しい始まり」「生命力」の象徴とされてきました。また、その香り高い花は人々の心を和ませ、学びや芸術の象徴としても大切にされてきました。
太宰府天満宮には現在でも約6,000本もの梅が植えられており、春になると境内は美しい梅の花で彩られます。梅は今もなお、日本文化の中で「希望と繁栄を告げる花」として、多くの人々に親しまれています。
【アートとしての水引】
私はこの歴史と精神を受け継ぎながら、伝統工芸である水引を現代アートとして昇華させています。水引と梅結びを用いた作品は、鑑賞する方の心を清め、空間に豊かさと調和をもたらす「縁起のアート」として世界に届けたいと願っています。
